芸能人が麻薬取締法で逮捕された日にひっそり収監されたU草氏

すでに収監が決まっていたのだから、大したニュースではなかったには違いない。
8月3日、女子高生に対する痴漢で懲役4月の実刑が確定していた植草一秀氏が、とうとう収監された。すでに未決勾留期間が60日あるので半分は消化しているものの、氏が「維新以来の民衆による無血革命」と位置づけていた衆院総選挙の投票日には、残念ながらご本人が刑務所の住人となったために投票資格さえないという皮肉な状況となってしまった。

ネット界ではランキング1位を誇り、数多くの熱狂的(狂信的?)信者を持つ同氏だが、リアルの世界では教祖様が収監されたニュースなどよりも押尾学覚醒剤取締法違反の現行犯で逮捕された事件の方が圧倒的に大きく報じられていた。
まあ、植草の信者でもなければ押尾ファンでもなく、芸能界にもさして興味のない私にとってはどちらのニュースもそれほど重要な意味を持つものではない。

とはいえ、かつてブログで教祖様を批判したことがある手前、植草氏を失った(しばらくの間だけどね)信者たちがどのような反応を起こすのかには少々興味を持った。

植草信者には面白いことに左派系ブログも右派系ブログも同居する形で「悪徳ペンタゴン」批判を繰り広げてきたわけだが、まず左派系ブログでは「晴天とら日和」が8月4日付のエントリで「初の裁判員制度裁判が始まるその日に、植草さんが東京高検に収監される。(選挙期間中で、裁判員制度で盛り上がってる時にコソッと収監してしまえ、って意図が見えすぎるやないか!)」とぶち上げている。
裁判員制度と植草収監とは何の因果もないと思うのだが、陰謀論が大好きな信者にとってはこれも「悪徳ペンタゴン」が裏で糸を引いているかのように見えるのだろう。
お気の毒に。

さらに「カナダde日本語」も、やはり8月4日付エントリ「植草さんが収監された日」というエントリを上げている。
「昨日、8月3日午後1時30分に,植草さんは東京高等検察庁に呼び出しを受け,収監されてしまった。」という書き出しは、いかにも大切な人を失ってしまった気持ちがあふれている。信者としてはしばらくのことではあっても、教祖様の言葉に触れられなくなるのは、この上なく寂しいことなのだろう。
現在、植草氏の「知られざる真実」は過去のエントリを抜粋して紹介しているようだが、

政権交代を心より願って必死で書き続けた植草さんの文章の中には、植草さんの魂が宿っている。植草さんの文章はとても読みやすいけれども、内容はとても深い。何度も読み返すたびに、最初は理解できなかった意味が理解できるようになったり、もっと深い意味があったことが発見できる。


まるで聖書のように読み返しては、ひとつひとつの言葉を反芻しているようである。そしてこちらもぶちあげてみせる。

政治ブログランキングの順位も2位に大きな差をつけてのぶっちぎりの1位となっている。植草さんが収監されている間も、このままみんなで植草さんのブログのランキングの応援を毎日し続けようではないか。


ランキングにも興味のない私にはどうでもいいことだが、本人が更新していないブログに対して投票し、上位を維持しようと工作するのはルール違反というものではないのか?
信者としては、教祖様がムショから出てきたときも、「知られざる真実」がランキング1位ですよと言ってやることが何にもまさる出所祝いになると考えたいところなのだろう。

そしてもうひとつは陰謀論の革新的信者である、Oh Henryことヘンリー・オーツ氏の「BLOG版ヘンリー・オーツの独り言」だ。
こちらは8月3日付のエントリで「植草一秀さん収監に断固抗議する!」と怒りの声を上げている。

今日は初めての裁判員制度による裁判が開かれる日で東京地裁前では反対派がビラを配っていた。植草事件の理不尽を考えると思わず歯ぎしりをしそうになる。テレビ情報に浸かっている人にとっては「ミラーマン」の事件としか認識されていないのだろう。


Henry氏も裁判員制度による裁判と教祖様収監を関連づけようとしているが、読んでみるとなんか変だぞ。「今日は」から始まる最初のセンテンスと「植草事件の理不尽を考えると」のセンテンスには何の脈絡もないのではないか?
さらにつながる「テレビ情報に浸かっている人にとっては」の文章も、きわめてつながりが悪い。
つまり、裁判員制度による裁判と植草収監とは何も関係がないことを、この一連の文章は図らずも白状しているようなものである。
Henry氏は真実を伝えるのはネット情報だけだとして、面会人に手紙を渡すなどして刑務所内からも情報を発信してほしいと訴えている。
まあ、それくらいは弁護士にやる気さえあれば可能なのではないかと思うのだが、どうだろう。

Henry氏はまた、「暗殺者は誰だ」という動画も紹介している。

おいおい、こんどは悪徳ゾンビかよ。
動画を見ると、中身は毎度おなじみの小泉・竹中ら「悪徳ペンタゴン」にとって都合が悪い人々が消されていったという事件を羅列したもので、気の毒に命を落としてしまった人々に並んで痴漢事件で逮捕された植草氏が登場し、「悪徳ゾンビ」がもっとも恐れている人物として紹介されている。

はあ〜。よくやるもんだわ。

しかし、多くの人が命を落としている中で、「もっとも恐れている」植草一秀氏だけが、どうしてもっともセコくてみっともない痴漢などで捕まったのだろうか。私にとっては不思議なだけである。

とまあ左派ブログと呼ばれるものを見てみたのだが、もうお腹がいっぱいである。右派ブログの「神州の泉」ものぞいてみたが、内容は不思議なほど左派ブログと同じである。

植草教において、政治的な左派も右派も関係はなく、ただひたすら植草氏は真実を知っている(述べている)と繰り返すのが教義となっているようだ。
でもさ、客観的に見たら植草教というのはただの混沌の塊としか思えないのだけどな。
今度の衆院選政権交代が実現したとして、その政権が左派あるいは右派にとって都合の悪い政策をとったとき、植草教の信者たちはどうするのだろうか。
いや、その前に教祖の植草氏自身がどのように発言をドライブさせていくのか、少々見物ではあると思う。