これはひどい、産経新聞政治部長の都議選総括

産経新聞はしばしば極端に偏向した記事を書いて、われわれを楽しませてくれる。
今回は政治部長乾正人という人物が、都議選を総括して大いに期待に応えてくれた。

まず前段で、乾は「予想されたこととはいえ、自民の惨敗、民主の躍進という都議選の結末は、有権者の怒濤のような国政への怒りの表れ以外の何ものでもあるまい」と無難にまとめる。
そして、麻生太郎は「地方選と国政とは直接関係ない」と言うだろうが、都民は麻生政権に「ノー」の意思表示をしたのであり、首相はこの事実を厳粛に受け止めねばなるまいとし、次期衆院選も都議選と同じような結果になるのは目に見えているとしている。

面白くなるのはこれからだ。

では、麻生首相は都議選敗北の責任をとってやめるべきか。

私はそうは思わない。自民党構造改革なしに、選挙目当てに自民党総裁という表紙だけを代えるのはいかにも姑息(こそく)な手段である。

自民党御用新聞らしく、首相が責任をとるには、辞めるよりもまず自民党構造改革が必要だとするのはいいのだが、その「構造改革」の中身がすごい。

なんと、乾政治部長は、安倍晋三福田康夫麻生太郎の三代にわたる首相が靖国神社参拝に踏み切れなかったのが、自民党敗北の原因であり、構造改革が必要な部分だというのだ。

小泉氏は、総裁選出馬時の公約を守って中国や韓国が強く反発するのを承知の上で、在任中、靖国参拝を続けた。むろん、国民の中にも反対派は少なからず存在したが、内政的には「ぶれない指導者」を強く印象づけ、高支持率の基盤をつくった。

 続く安倍氏は「美しい国」づくりを掲げ、首相就任前は、熱心に靖国神社を参拝していた。だが、在任時には「政冷経熱」といわれた日中関係の改善を図ろうと参拝を自粛してしまった。「保守政治家」を自任する麻生首相も参拝する気配はない。

 その結果はどうだっただろうか。確かに日中首脳間の対話は頻繁に行われているが、東シナ海のガス田問題も毒ギョーザ事件も解決していない。それどころか中国は、軍備増強のスピードをさらにあげている。このため自民党支持者の一部は、「他国に遠慮して戦没者の慰霊もできない指導者」と麻生首相らを見放している。

ワーオ!
小泉純一郎が支持を得たのは靖国参拝を続けて近隣諸国との関係を悪化させながらも、「ぶれない指導者」を印象づけたからだという。
反対に、靖国参拝できなかった安倍や参拝する気配を見せなかった福田、態度がはっきりしない麻生はガス田問題や毒ギョーザ問題も解決できず、支持者からも見放されているというのだ。
中国が軍備増強を進めているのも、首相たちが靖国参拝をしないためなのだ!

さすが産経新聞
よくぞここまで深読みをしてくれました。
次の衆院選挙で民主党が政権をとったなら、産経新聞は翌日の社説にきっと書くことだろう。

「新首相はまず靖国参拝をするべきだ」
ってね。